ポリネシアに独自コイン「Varyon」を発行、自給自足の浮島(洋上都市)建設始まる
フランス領ポリネシア政府は、自国の仮想通貨を発行、政府の規制を受けずに自給自足で暮らす当初300戸の「浮島建設計画」の実現を陰で支える。このプロジェクトは「Blue Frontiers」という会社が資金手当てをしており、このプロジェクト向けに「Varyon(VAR)」というトークンのプレセールを開始した。
Ethereum(イーサリアム)上でトークンを発行して行う浮島計画は、最終的には洋上に浮かぶ数百の新しい国(浮島)の開発を目指しており、NPOのSeasteading Instituteも支援参加する。ポリネシア政府は、Blue Frontiersと覚書を交わして、自治を目指す浮島計画に寛大な政策、つまり干渉しない方向を確認した。
海面上昇など環境難民を救うための洋上都市づくり
BlueFrontiers社研究員であるナタリー・メッザ・ガルシア(Nathalie Mezza-Garcia)氏は、CNBC放送とのインタビューで、「われわれは環境難民に住んでもらう島づくりを計画する、コンセプトの実証を目指している。このプロジェクトがポリネシア諸島で試されるのが重要である。この地域はサンゴ環礁であり、いずれ海面上昇とともに消滅するから・・・」と語っている。
この浮島建設計画の予算は約5000万ドル(約55億円)で、2022年に完成する予定。プロジェクトの中心は、個人も参加企業も自由主義者集団であり、特定の政府から自由であることが、当初からの目標である。
発行されるトークンの「Varyon(VAR)」は、イーサリアム(ETH)との間に1ETH=14,750VARで交換される。ICOからの実収入は、浮島のエコシステムを強化し、試験的な洋上人工都市のSeazonesとseasteadsの建設費に充てられ、あらゆるサービスと商品の購入は、Varyonで決済される。ホワイトペーパーによると、人工都市の中では「財政、税制、労働、許認可、その他規制上の問題にかなりの程度柔軟に対応されるか、除外される」ことになる。
プレセールで7~8%のトークンを販売済み、公売は6月から
Varyonは2018年5月中旬までに、プレセールで7~8%のトークンを販売済みで、公売は6月に始まる。トークンの45-72%ほどが洋上都市建設に支出される。支出の割合は、このトークンが総額いくらで売れるかにかかっている。
「Seasteading Institute」は、サンフランシスコにある洋上都市の研究機関であり、仏領ポリネシアと協力して今回のプロジェクトを進めている。同研究機関は、2008年から建設技術そのものの研究を進めるとともに、洋上都市の候補地を探してきた。ポリネシアで法案が可決されれば、2019年中に着工を予定している。
海上都市の建物は、水位の変化に影響されない浮力のある素材で基礎部分を作り、地球温暖化による水位上昇にも対応するという。建設予定の300世帯分の住居は言うまでもなく、オフィス、レストラン、スーパーなどの施設が建設される。
Seastandingはデザインコンテストで優勝、PayPal創業者も出資
「Seasteading Institute」は実は2009年に、海上都市デザインコンテストに「緑のスイミングシティ」を出品して優勝している。同研究所は、PayPal創業者で投資家のピーター・ティール氏も出資している異色の研究所。2050年までには、数千の洋上独立国家を創設するのが夢であり、その最初の洋上都市がタヒチに出現することになる。
洋上都市の最大の特徴は、政治的、経済的に自治権を持つ独立国家を目指すもので、すでにフランス領ポリネシア政府の認可を受けている。海面上昇で将来水没すると予測されているポリネシアにとっても、文字通り「ユートピア国家」の誕生となる。
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