仮想通貨取引所「Zaif」の実態
仮想通貨取引所「Zaif」などを運営するテックビューロ(大阪府大阪市)が2月19日、官報に掲載した第3期決算公告(2017年3月31日現在)によれば、純損失は2億4900万円の赤字、累積の利益や損失の指標となる利益剰余金は4億2100万円の赤字だった。
テックビューロは14年設立。仮想通貨取引所「Zaif」の運営や、企業内や企業間で利用可能なプライベートブロックチェーンを構築できるサービス「mijin」、仮想通貨を使った資金調達の手法「ICO」(Initial Coin Offering、新規コイン発行)のプラットフォーム「COMSA」などを幅広く展開している。
資金調達面では、15年に1億円を調達したのを皮切りに、16年にはアララやインフォテリア他から6.7億円、17年9月にはジャフコから16億円を調達し、これまでの累積調達額は25億円を超えている。またCOMSAでは、17年9~11月に実施した自社ICOにより、サービス単独で100億円以上のトークンセール(資金調達)に成功した。
資金繰りに問題はない
今回の決算公告によれば、17年3月時点の純損失は2.4億円、累積赤字は4.2億円となっているテックビューロですが、流動資産11億円に対して流動負債は7.5億円と余裕があり、決算後に大型の資金調達に成功しているため、資金繰りには問題なさそうです。
なお、今回の決算公告は資本金を準備金に12億円移す内容となっているので、もしかすると2月16日に放送開始した、剛力彩芽さんを起用したZaifのテレビCMなどへの費用に充てるのかもしれません。
そして業績以外では、17年3月時点の決算公告をこのタイミングで初めて官報に掲載している理由が気になります。もちろん前述した通り、ジャフコから16億円を調達したので、コンプライアンス上の理由が考えられますが、1月26日にコインチェックから巨額の仮想通貨「NEM」が流出したトラブルの影響もありえます。
2200兆円分のビットコインが0円で売り出されるエラーが発生
サービスや業界の未成熟さ、不透明さが指摘されつつも、急速な市場拡大やイノベーションへの期待から規制緩和が進んでいる仮想通貨ですが、コインチェック騒動以降、課題への指摘の声は大きくなっています。
金融庁が1月30日に緊急調査を実施すると発表し、2月8日にはテックビューロにも立入検査が行われました。テックビューロ自体も1月29日にセキュリティ対策室の設置したと発表しています。今回の決算公告もタイミング的に何らかの影響があったのかもしれません。
しかしその矢先、テレビCMの放送が始まった2月16日、Zaifで時価総額約2200兆円分のビットコインが0円で売り出されるエラーが発生したとネット上で指摘が挙がりました。
エラーの原因は9日、クレジットカード会社からの要請で実施したクレジットカードでの仮想通貨購入の一時停止の際の処理にあったと推測されていますが、あわやコインチェックの比ではない大惨事に陥っていた可能性があります。
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