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GPUとASIC、マイニングの覇権をかけた終わりなき争い

2009年にビットコインが誕生して以来、仮想通貨のマイニングは、通常の愛好家や筋金入りのマニアの間で人気を博してきた。仮想通貨が誕生して間もない頃は、ASICチップとして広く知られている特定用途向け集積回路(ASIC)などというようなものは存在しなかった。当初マイニングは通常の中央処理装置(CPU)を用いて行われていたため、最良のハードウェアを持つパソコン愛好家たちがビットコインマイニングにおいて有利なスタートを切っていた。

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ワシントン大学マイケル・ベッドフォード・テイラー教授の記事によると、ビットコイン誕生から1年と少しが過ぎた2010年、グラフィックス処理ユニット(GPU)を用いたビットコインのマイニングを開始するためのコードが世界中に広まり、そのことがビットコインのマイニングに多くのマニアたちが夢中になる現象の発端になったという。

その後間もなく趣味に熱心な人たちは、グラフィックスカードがマザーボードの上に取り付けられPCIE延長ケーブルに接続されたリグを作り始めた。その結果、採掘者たちがリグのハッシュ値の計算能力を高めようと試みる中、多様な適応方法が生み出された。

ASICマイナーの開発により、それまでマイニングでぜいたくな思いをしていた人々の状況はいくぶん悪化した。ASICマイナーは13年に市場に参入し、より高い処理能力を持つチップが絶えず開発されていき、親類のGPUを完全にしのぐようになった。それにもかかわらず、この分野の愛好家たちは最上級のグラフィックスカードでマイニングリグを作り続けた。そのことは、GPUメーカーであるエヌビディアとAMDに、過去数年間にわたり恩恵を与えてきた。

マイニングとは?

マイニングとは、ビットコインブロックチェーン上に取引が記録され不変に保存されるプロセスだ。このプロセスのより詳細な説明については、ここからコインテレグラフによるエッセンシャルガイドを参照することができる。このプロセスはコンピュータにより処理される。コンピュータは最初にビットコイン取引を受け取り、それらをまとめて1つのブロックに入れる。ブロックのデータが最大容量に達すると(ビットコインの場合1MB)、ブロックはブロックチェーンに加えられるようになる。

ブロックをブロックチェーンに加えるために、採掘者は、GPUマイナーかASICマイナーのいずれかを用いて、複雑なプルーフ・オブ・ワーク暗号アルゴリズムを解く必要がある。運よく計算を解くことができれば、一定数のビットコインが報酬として与えられる。現在のところ、報酬は12.5BTCとなっている。さらに、採掘者はブロックに保存された取引を処理することで報酬を得る。取引手数料が高いほど、より素早く取引は採掘者により処理される。

GPUマイナーとASICマイナーの終わりなき闘い

初期にマイニングに参加した採掘者たちは、マイニングのスケーリングの難しさによる恩恵を得ていただろう。より多くの採掘者が取引を承認し、ブロックの計算を解こうと競い合うにつれ、このプロセスはより困難になるようデザインされている。

マイニングが始まった初期は、採掘者の数が多くなかったため、報酬は高く、アルゴリズムを解くのもより容易だった。だが、より多くの人々が自身のパソコンを使ってマイニングし始めるようになり、マイニングはより難しくなった。

マイニングは当初CPUを利用してブロックチェーンの正当性を確認していたが、GPUを用いた手法に移行し、その後ASICチップが開発されると状況はがらりと変化した。ビットコインプルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムはSHA256として知られている。GPUマイナーもASICマイナーもこのアルゴリズムを処理できるが、後者のチップの方がはるかに効率が良い。

処理能力の高いビットメインのアントマイナーS9のようなASICマイナーが登場した時、SHA256アルゴリズムの計算におけるASICチップの優位性により、従来のGPUマイナーの収益性が悪化した。

幸いにも、GPUチップの方が有利となるアルゴリズムを持つイーサリアムのようなアルトコインの出現が、GPUマイニングのセクターに再び活気を与えた。「ASIC耐性」と評されているこのようなコインの性質により、趣味でマイニングを行う人が、量産品のASICマイナーにより利益を奪われる脅威にさらされることなく、自身のパソコンやGPUを使ってイーサリアムをマイニングできるようになった。

ASICマイナーが存在するにもかかわらず、GPUに対する需要は急増し、高い需要は17年半ばにはGPUの在庫不足まで引き起こした。AMDとエヌビディアは、各社のGPU製品に対する大きな需要に追いつくことができなかった。1年を通じてイーサリアムビットコインの価格が着実に上昇する中で、この分野の愛好家たちがGPUを手に入れようと大騒ぎした結果、AMDカードの在庫を完全に切らした米国の小売店も中にはあった。

エヌビディアとAMDの両社がそれぞれの株価が上昇したことは驚くべきことではなかった。とりわけエヌビディアは、17年の暮れにS&P500指数における半導体のトップメーカーとなり、マスコミに大きく取り上げられた。エヌビディアは、有り余るほどのお金を持つゲーマーたちが列を作って買い求めた、Voltaを採用した新たな「タイタンV」グラフィックスカードも発売した。

マイニング特化型のGPUではない

AMDとエヌビディアが、マイニングに特化したGPUの開発に焦点を向けたいという衝動を抑えたというのは信じ難いことだが、両社ともゲーム用グラフィックスカードの開発を最も重視していると主張している。

17年にエヌビディアはマイニング専用のボードを設計したが、エヌビディアのチップの多くは、画像のレンダリングというGPUの従来の目的のために開発されてきた。エヌビディアは仮想通貨マイニング業界からの需要により売り上げが大幅に増加したことを認めた。

その一方で、AMDはより慎重なアプローチを取り、長期的成長計画に仮想通貨マイニングを含めないことを17年の7月に発表した。だが、その6か月後、同社のリサ・スーCEOは態度を改め、18年の世界の普及率次第でブロックチェーン分野に参入するというAMDの計画を公表した。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは3月、仮想通貨と仮想通貨へのエヌビディアの関与に対する新たな見解を示した。それは、エヌビディアのGPUが世界中のコンピュータの中にあることを考慮すれば、エヌビディアがビットコインマイニングをとりまく仕組みの一部となったのは当然の成り行きであるというものだった。

フアン氏は米CNBCの番組ファストマネーで、エヌビディアの処理装置は、そのスーパーコンピューティング能力の分散を可能にするのに最適な処理装置としての役割を果たす、と述べた。GPUは、絶え間なくビットコインブロックチェーンの承認を行うコンピュータのネットワークに埋め込まれた数多くの歯車の一つにすぎない。仮想通貨市場全体にとって波乱の一年のスタートとなったにもかかわらず、フアン氏は仮想通貨の技術が決して衰退しているわけではないことに自信を持っていた。「価値を交換するための摩擦が少ない低コストの手段を、世界は長い間持ち続けるだろう。つまり、長期間にわたりブロックチェーンが存在し続けるということだ」。

追い詰められたGPU

エヌビディアとAMDは、仮想通貨業界の動向を注意深く見守り、17年に仮想通貨が急に普及したことで成長を享受してきたが、両社は仮想通貨マイニングに特化したハードウェアを開発する企業との厳しい競争に直面している。

2月にCNBCが報道したとおり、中国のマイニングハードウェアメーカーのビットメインは17年、エヌビディアとAMDを上回る利益を計上した。エヌビディアの営業利益の30億ドルと比較して、ビットメインは30~40億ドルの営業利益を出したと考えられている。ビットメインがさまざまな仮想通貨向けのASICマイナーのみを製造していることを考慮すると、これは相当な額だ。

ビットメインの主力製品であるアントマイナーS9は、世界で最も効率の良いビットコインマイナーとしてもてはやされているが、ビットメインは、とりわけ種々のプルーフ・オブ・ワーク・アルゴリズムを解くことができるマイナーを開発するなど、商売の手を広げ続けてきた。そのことは、マイニングの過度な集中化によるセキュリティ上の懸念を理由に、マイニングの独占に反対している仮想通貨の広範なコミュニティから、多くの非難を招いた。

より小規模の仮想通貨であるシアコインは、ビットメインがアントマイナーA3というシアコイン向けマイナーを発売した際、シアコインのブロックチェーンをハードフォークすることを検討したが、結局ハードフォークしなかった。一方、同じように規模の小さい仮想通貨であるモネロは、ビットメインが先月モネロ向けマイナーを発売した結果、ハードフォークを実行した。

先週ビットメインが同社初となるイーサッシュ向けASICマイナーの発売を発表した結果、ついにイーサリアムすらも脅威にさらされることになった。当然のことながら、イーサリアムコミュニティは、ビットメインのイーサッシュ向けASICに対抗するためのハードフォークの利点についてすでに議論を行ってきていた。イーサリアムの創設者であるヴィタリック・ブテリン氏のホワイトペーパーは、イーサリアムプロトコルがすでにASIC耐性であることを示唆している。

「このアルゴリズムが持つ一つのとりわけ興味深い機能により、特定のASICを妨害するよう特別にデザインされた数多くのコントラクトをブロックチェーンに導入することで、誰でも井戸に毒を入れることができる」 

ビットメインのウェブサイトは、最初に製造されるアントマイナーE3の装置を、7月中旬に出荷することを知らせているが、イーサリアムによる今後の計画についての公式のコメントは出ていない。

競争の激しい企業の世界において、ASICマイナーの出現は、以前からアマチュアの愛好家が成功するのを難しくするものだった。それでもなお、利益になるマイニングは依然としてGPUを用いることで成し遂げることができるが、GPUコミュニティが好むと好まざるとにかかわらず、大きな小切手帳を持つ投資家は、市場で最も処理能力の高いハードウェアを手に入れることができる。

 

参考URL:

https://jp.cointelegraph.com/news/gpus-and-asics-a-never-ending-battle-for-mining-supremacy