新たなEIP、バグで凍結されたETHのリカバリーの可能性を探る
スマートコントラクトのバグにより凍結されたETHのリカバリーに関する新たな提案が行われた。イーサリアムのGithubのEIP(Ethereum Improvement Proposal)に投稿された今回の提案は、コミュニティ内でも意見が割れている。
マルチシグウォレットのライブラリー内で凍結されたETHへ再びアクセスするためのEIP999は、ParityのデベロッパーAfri Schoedon氏によって提案された。凍結されたETHのリカバリーには、イーサリアムのソフトウェアのハードフォークが必要となる。
昨年10月、Githubのユーザーdevops199がParityのマルチシグウォレットの調査を行っている途中で、ETHを凍結してしまう「Kill」とよばれるスマートコントラクトのファンクションを「誤って」実行してしまったことが事件の発端となっている。さらに、コードの脆弱性によりライブラリーのオーナーとなることができ、すべてのウォレットをコントロールできる状態であったことが被害の拡大に繋がった。
約513,000ETHが凍結され、被害額は約350億円に上る。影響があったウォレットの数は587に上り、Parity創始者のギャビン・ウッド氏のETHも凍結されている。
Schoedon氏は、EIP999の必要性を説いており、「イーサリアムのプロトコルは、今回のような意図しないバグによって凍結されたETHを取り戻す術を持たない。影響があったユーザーや企業が、自身のETHにアクセスできるようにすべき」と語っている。
コミュニティ内で今回の提案を受け入れるべきか否かの投票がすでに行わており、否定派が55%となり肯定派の39%を上回っている状況となっている。記録されたデータの修正・変更ができないことがブロックチェーンの性質の一つであるため、影響がなかったユーザーから否定的な意見が出るのは至極当然だろう。記録されたデータの修正をするのか否か、今後のイーサリアムのブロックチェーンの方向性を示す議論となっている。
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