リップルがスマートコントラクト機能をさらに強化した「Codius」をベータ版で提供
Ripple(リップル)がこのほど、決済手段のスマートコントラクト・プロトコルである「Codius」のベータ版をリリースした。これはRipple Labsが開発していたものだが、2015年6月にマーケットが熟していないことを理由に中断されていた。今回はその「復活版」である。
非中央集権・分散型のアプリケーション(Dapps)やスマートコントラクトが、これまで以上に速く、安全になる。Codiusはリップル(XRP)だけでなく、ビットコイン(BTC)やイーサリアム(ETH)にも対応できるようになる。Codiusは公式サイトで概要を閲覧できるとともに、デベロッパーツールのダウンロードも可能。
高速、セキュリティ強化して今夏リリースか?
Codiusは、Rippleが2017年から再開発中のスマートコントラクト用の新しいプラットフォームである。公式サイトには、Codiusについて「オープンホスティング・プロトコルとなるもので、その設計はスマートコントラクトを支援し、Rippleエコシステムに付加されるシステムの創造を可能にする」という。
開発が始まった際の2104年のホワイトペーパーによると、「Codiusは非集中化のプロセスをより簡単にするもの」とある。Codiusは同時に、Rippleネットワークの能力向上を目指し、銀行など金融機関や大企業を巻き込むエコシステムに対して、最善の非集中化ソリューションとなるはずだった。今回新たに計画されているCodiusの詳細は不明で、実装時期や改良点など一切明らかにされていない。情報筋によると、実装は今夏を目指しているという。
情報筋によると、Codiusは現在のRippleより高速であり、セキュリティも一段と強化される。さらにJavaScriptが採用され、特別のプログラミング言語は必要としない。マイクロペイメント・システムが実装され、相互の決済は一段と容易になるようだ。
BTC、ETHに取って代わる万能決済処理プロトコル
そもそもCodiusの開発が中断した2015年当時、仮想通貨市場はまだ未成熟で、スマートコントラクト機能を利用した決済基準は不在だったため、Codius開発プロジェクトは段階的に撤退を余儀なくされたようだ。
公式ウェブサイトによると、「Codiusは組み込み請求書作成(決済処理)プログラムが内蔵されてあり、いったんアップロードされれば、作成者、ユーザー、あるいはプログラムそれ自体など、だれでも決済処理を続けることができる」という。
メディア報道によれば、投資家の1人であるAlex Cobb氏は、Twitterで次のように厳しくつぶやいた。その他多くの個人投資家がTwitter上で、Codiusの出現に大きな期待をかけている。
Alex Cobb氏 Twitterより
「Rippleのcodiusスマートコントラクト・プラットフォームは、ビットコインやイーサリアムの利用に取って代わりうるかもしれない。それら(BTCやETH)は時代遅れになるかも。すべて1つの通貨(XRP)でビットコインやイーサリアムの機能も手に入れることができるというのに、そのどちらかのプラットフォーム上でする取引に余分なお金を支払う理由が分からなくなる」
Codiusはベータ版が公表されたものの、なお「藪の中のプロジェクト」と評されている。実装されるのかどうかも、実は判然としていない。ユーザーや投資家は、まさにRippleからの朗報を忍耐強く待たなくてはならない。
参考URL:
イーサリアムを現物出資で会社設立の資金に当てる事例が誕生
シンプレクス株式会社とSmart Contract株式会社の子会社である株式会社Smart Contract Systemsが2018年5月をめどにジョイントベンチャー企業の設立で合意しました。
新たに設立される予定の会社はシンプレクス社の発表によると、仮想通貨市場に流動性を供給する機関投資家等のリクイディティプロバイダーを対象とした仮想通貨取引プラットフォームを提供するジョイントベンチャーと説明されています。
この説明だけだと非常にわかりづらいものとなっていますが、要は機関投資家や企業など大口の投資家が仮想通貨取引をする際の仮想通貨プラットフォームを提供する会社ということになります。
イーサリアム(Ethereum)は全体の出資額の半分弱に
出資総額は2億円が予定されており、そのうちシンプレクス株式会社が1億200万円を現金で、株式会社Smart Contract Systemsが8,900万円相当のイーサリアム(Ethereum)を現物出資する予定となっています。
一応会社設立時の出資方法として現金以外に不動産や有価証券を現物で出資するという方法も会社法において認められていますが、仮想通貨を用いての現物出資はおそらく国内初の事例なのではないでしょうか。
企業会計基準委員会(ASBJ)が取り決めた会計ルールによると、仮想通貨を現物出資した場合は、期末に時価で評価をし、その差額を損益に計上しなければなりません。
仮想通貨は価格変動が大きく、一気に下落することも十分あり得るので、今回のイーサリアムの現物出資は金額にかなり余裕を持たせての出資だと考えられます。また、価格変動が大きいということはリスクも大きいのですが、それよりも仮想通貨を今後の企業活動で活用していくことで認知度の向上を狙っているのではないでしょうか。
仮想通貨で出資を行うメリット
仮想通貨を会社設立の出資金に当てるメリットに関しては、その仮想通貨を今後どれだけ企業活動の中で柔軟に使っていけるかが肝となるでしょう。
上でも述べたようにイーサリアムはスマートコントラクトという技術も持っているので、この技術をうまく事業内容に応用できれば透明性の確保や中央集権によるリスクを回避することができます。
また、イーサリアムを使って出資を行なったという珍しさからシンプルに話題性にも富むというメリットが考えられます。
仮想通貨で出資を行うデメリット
一方デメリットとしては、仮想通貨はボラリティ(価格変動)が他の出資方法と比べてかなり大きいということでしょう。現金はもちろん有価証券や不動産を出資に用いても一年後に半額になっているケースは考えづらいです。
しかし、仮想通貨でれば一年後に半額どころか価値がほぼ0になっている可能性も無視できません。仮想通貨を出資金に当てるというのはこういった不安定さを考慮した上で行わなければいけません。
当然価格変動が大きいということは価値が大きく減るケースに備えて余裕を持つことが求められます。今回のケースは大きい金額をイーサリアムで出資したとのことなのでかなりの金額を余裕金として準備しておいたのでしょう。
まとめ
今回の仮想通貨を会社設立の出資金に当てるという事例は非常に珍しいケースですが、もしかしたら今後このようなケースが現れるかもしれません。
イーサリアムは話題性だけでなく、スマートコントラクトという技術を持っているので透明性の確保にもつながり、仮想通貨の流動性にも貢献することになるでしょう。
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エヌビディア、売上高・純利益とも最高 2~4月
画像処理半導体(GPU)大手の米エヌビディアが10日発表した2~4月期の売上高は前年同期比66%増の32億700万ドル(約3500億円)となり、過去最高を更新した。データセンター向けが7億100万ドルと71%の大幅な伸びを示した。純利益は2.5倍の12億4400万ドルで過去最高だった。
「深層学習(ディープラーニング)」を効率良く行うために、大量のデータを計算処理するのに優れるGPUを採用するデータセンターが増えたことが伸びを後押しした。アマゾン・ドット・コムやマイクロソフトといったクラウド企業からの需要が旺盛だった。
データセンター向けはCPU(中央演算処理装置)を供給するインテルも1~3月期の売上高が24%増となったが、エヌビディアのGPUはより顕著な伸びを示した。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は「CPUの性能向上は鈍化しており、世界は他のアプローチを求めている」と説明した。
深層学習に向くデータセンター向けの半導体では、8日に「TPU3」を発表したグーグルのように顧客が自社開発を進める動きもある。こうした動きについてファン氏は「(処理速度の)速さに加えて、用途の柔軟性でもGPUが勝る」との見解を示した。
主力であるゲーム向けの売上高は68%増の17億2300万ドルだった。過去数カ月間は仮想通貨の採掘(マイニング)のためのGPU購入増で流通価格が急騰する事態が起きていたが、「流通価格は通常の状態に戻りつつある」(ファン氏)。仮想通貨の流出事件などが響き、マイニング需要が減速したためだ。
参考URL:
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30353170R10C18A5000000/
イーサリアムのキャスパーアップデート、最初のバージョンがリリース
イーサリアムネットワークのエコノミック・コンセンサス・プロトコルを改良するキャスパーのコードの最新版が、8日に開発者らによってリリースされた。
8日、キャスパーFFGの開発者ダニー・ライアン氏が、コードのキャスパーv0.1「ファーストリリース」をギットハブに投稿した。同氏は、「v0.1.0はより明確なタギングに修正したリリースで、クライアントや外部監査人が契約や変更をより簡単に追跡できるようになる」と述べた。
ライアン氏は今回のアップグレードに関する掲示板レディットの投稿に対し、次のようにフィードバックした。
「現在、契約を利用しているのは研究チームだけに限らず、監査人やクライアント開発者などもいる。そのため、より明確なバージョニングと変更ログを発行し、誰もが整理された状態を保てるようにし始めたかった」
キャスパーFFGは、「バリデーターデポジットや仮想通貨経済的インセンティブを通して経済的ファイナリティの未解決問題」を解決する目的で、17年10月に初めて公開された。4月下旬には、イーサリアム改善提案EIP1011:ハイブリッド キャスパーFFGが導入された。仮想通貨マイニングに関連する問題からネットワークを遠ざけるための、コンセンサスのハイブリッドシステムを作り出すことを目指している。
ハイブリッド・キャスパーFFGでは、プルーフ・オブ・ワークにプルーフ・オブ・ステークのコンセンサスが組み合わされており、最終的にはPoSへ移行することが目標と伝えられている。EIPによれば、アップデートの具体的な項目の中には、マイナーに対するブロック報酬を、現在の3ETHから0.6ETHに減額する修正が含まれる。
参考URL:
https://jp.cointelegraph.com/news/first-version-of-ethereums-casper-update-has-been-released
ウィンクルボス兄弟、仮想通貨を用いた上場投資商品の特許取得
ウィンクルボス兄弟(キャメロン氏とタイラー氏)のウィンクルボスIPによる、仮想通貨を用いて上場投資商品(ETP)を取引できるようになる特許出願が認可された。5月8日火曜日に米国特許商標庁(USPTO)が発表した。
コインテレグラフによると、昨年12月にウィンクルボス兄弟が提出し、この度認可された特許申請は、仮想通貨に基づく資産の取引に向けた「システム、メソッド、およびプログラム商品」の概要を示している。
仮想通貨取引所ジェミニの取引プラットフォームの計画の一部として、今年2月にウィンクルボスIPが仮想通貨のセキュリティに関する特許を取得したことに引き続き、今回の特許取得は同社にとって大きな前進である。
この特許により規定されたメカニズムの説明は以下の通りとなる。
「本発明は、概して、デジタル資産を保有する上場投資商品(『ETP』)およびデジタル資産を保有するETPに関連した他の商品やサービスに使用するためのシステム、メソッド、およびプログラム商品に関する。」
1年前、米証券取引委員会(SEC)はウィンクルボス兄弟による規制対象のビットコイン上場投資信託(ETF)を立ち上げる申請を却下した。ETFはETPのくくりに分類される商品の一つだ。
当時SECによるビットコインETFの否決が市場の不安を引き起こした一方、多くの関係筋は、申請するタイミングが早過ぎたことと、当局がそれまでにそのような革新的考えに対処するのに必要な措置を整備していなかったことを指摘していた。
ウィンクルボス兄弟はそのアイデアを諦めていなかったようだ。それ以来、ゴールドマン・サックスのような金融大手やニューヨーク証券取引所がビットコイン関連の商品とサービスの立ち上げを発表するなど、ウォール街は仮想通貨市場参入に向けて動いている。
ジャスティア・パテンツのデータによると、ウィンクルボスIPは今年に入ってから合計5つの特許を取得するのに成功している。
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中国で2番目のBTCマイニング装置メーカー、香港での10億ドルのIPOを計画
中国で2番目に大きなビットコイン(BTC)マイニングハードウェア製造会社のカナン・クリエイティブが、香港証券取引所で新規株式公開(IPO)を計画している。サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は9日、米国ではなく香港でIPOを行うことを同社が決定したと報じた。
SCMPはさらに、これが成功すれば、同社は香港市場に上場する初めてのブロックチェーン関連企業になると報じている。
この件に詳しい匿名の情報筋は、同社がIPOで10億ドルを調達しようとしており、前もって香港と米国の両方の市場を検討していたとSCMPに語った。
SCMPによると、カナンは16年に中国の元建てA株市場でIPOを行おうとしていたが、規制当局がこの計画の査定案に異議を唱え、その試みは失敗した。同社は17年に再び中国の「新三板」市場への上場を試みた。同市場は新興企業をターゲットにしており比較的規制が厳しくないのだが、この試みはまたもや失敗した。
カナン・クリエイティブは中国東部の杭州市に拠点を置いている。また、同社は17年の年間純利益が前年比600倍の4億1000万元(6400万ドル)であるとする未監査の財務データを1月に発表した。カナンの顧客の大半は、安価な電力のおかげで長年仮想通貨マイニングの超大国になっている中国から来ているとSCMPは報じた。
中国は17年、ブロックチェーン技術に関する特許を世界で最も多く出願したと報じられており、同年における世界のBTCマイニングの50〜70%を占めていたと言われている。
しかし、将来的に中国当局がBTCマイナーの電力使用を制限するといった仮想通貨分野への規制強化の可能性もある。もしそうなれば、カナンとその競争相手であるBTCマイニングメーカー大手のビットメインが行っているビジネスに大きな影響を与える可能性がある。ビットメインは、中国による規制を迂回しようと、カナダ、スイス、シンガポールといった海外での事業展開を拡大している。そして公式な発表はないがおそらく米国にも拡大していくだろう。
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元FRB理事、中央銀行コインの可能性を探る
2006年から2011年まで米連邦準備制度理事会(FRB)の理事を務めたケビン・ウォーシュ氏が、FedCoinなる中央銀行が管理するデジタル通貨の必要性が高まっていると考えていることを明かした。仮想通貨やブロックチェーンを使った技術が未来のお金として注目を集めていることを認め、FRBもこの分野を注視するべきだとしている。
ウォーシュ氏によれば、仮想通貨の盛り上がりの理由の一つとして、中央銀行がお金の供給量を管理する金融システムに対して多くの人が疑念を抱いているという。中央銀行関係者の中にも、仮想通貨のような暗号化された資産というアイデアが優れていると認めている者もいるとのことだ。
「仮に自身が現在FRBに在籍していたとしたら、FedCoinを作るための特別なチームを編成しデジタル通貨の発行を提案するでしょう」
一方、現金を廃止しようといった意図はなく、次の金融危機の際の緊急措置として必要であると考えているようだ。
シンガポールやイギリスの中央銀行は、すでにデジタル通貨の研究を進めている。さらに今年2月、新たにFRB議長に就任したジェローム・パウエル氏もブロックチェーンを使ったペイメントシステムが、経済に大きな影響を与える可能性があることを感じているとウォーシュ氏は語った。
ウォーシュ氏はまた、仮想通貨の欠点として価格の振れ幅が大きい点を指摘している。価格の不安定さは決済手段に向かないとし、通貨の価値を安定させることに関しては中央銀行が優れていると主張している。そのため決済手段としてのデジタル通貨の発行には中央銀行が向いていると考えているようだ。
「米議会はFRBにお金の供給に関して独占的な権限を与えています。仮に仮想通貨が今後、価格を安定させることができ、投機目的だけでなく信頼できる勘定単位としての機能を備えることができれば、中央銀行にとって脅威になる可能性があります」
仮想通貨に使われている技術がお金としての機能を担保するものであり、日常的に使われるようになれば、FRBや既存の金融機関が失うものは大きい。一方、多くの仮想通貨は現状、どの金融資産よりもボラティリティが高く、価格が安定しているとは言いがたい。日常の決済手段として使われるようになるには、このボラティリティをどう抑えるかが鍵となりそうだ。
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