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ニューヨーク証券取引所の親会社ICE、ビットコインの取引所設立を検討

ニューヨーク証券取引所の親会社Intercontinental Exchange(ICE)が、ビットコインの取引所の提供を検討していることをニューヨーク・タイムズ紙が報じた。計画は極秘のため情報元は明かされていない。

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ICEは過去、ビットコインスワップ取引に関して複数の金融機関と話し合いの場を設けている。

最近になって、ウォール街と仮想通貨の接近に関する報道が増加している。大手投資銀行ゴールドマン・サックスは、ビットコインのトレーディングデスクをオープンする計画がある。ビットコイン先物取引は昨年、CMEとCBOEに上場した。また、ナスダックは先月、ウィンクルボス兄弟率いる仮想通貨取引所ジェミニとパートナーシップを結んだ。ナスダックのアディナ・フリードマンCEOは、ビットコイン取引の提供を前向きに検討してる旨のコメントを残している。

仮想通貨の市場は投機性が強くリスクの高い市場であり、伝統的な金融機関からは敬遠されてきた。仮想通貨には特有の管理が要求され、既存の金融システムにはないリスクが潜在する。

仮想通貨は既存の金融市場とはまったく異なる市場を形成しているため、規制当局の方針が定まらず、コンプライアンスを重視する大手金融機関の参入を阻んでいた。今年に入り、ビットコインは証券には該当せず、金のような商品であるとの認識が関係者の間で浸透しており、規制に関する見通しが立ちつつある。

ビットコインに関する規制方針がクリアになったことが、既存の金融機関の仮想通貨市場の参入を後押ししている。さらに仮想通貨市場における取引所ビジネスの収益性の高さにも注目しているものと思われる。

2018年第一四半期の収支報告では、仮想通貨大手取引所のバイナンスが、ヨーロッパのドイツ銀行より収益が高かったことがわかった。ドイツ銀行の収益が約160億円であったのに対し、バイナンスは約218億円であった。

バイナンスは2017年7月より営業を開始したいわばベンチャー企業だ。しかし1870年から銀行業を営むドイチェ銀行の収益を一年足らずで抜いたことは、多くの銀行員に衝撃を与えたことは間違いない。

 

参考URL:

https://btcnews.jp/5qe4psik16215/

豪州、旧石炭発電所をマイニング施設として再利用

ブロックチェーン企業2社が提携し、オーストラリアの旧石炭発電所を活用したビットコインマイニング事業に乗り出す。7日の公式発表で明らかにした。

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オーストラリアのスタートアップ企業のIoTブロックチェーンは、ビットフューリー社のマイニング用ハードウェアを導入するため、豪における同社の認定パートナーであるロイヤルティ・ブロックチェーン・グループと提携したことを、オーストラリア証券取引所ASX)に報告した。閉鎖された発電所を利用したマイニング複合施設の共同開発計画に乗り出す。

同2社はレッドバンク発電所を「ブロックチェーン活用複合施設」に再利用し、隣接するハンター・エナジー発電所から安価な電力を調達する。この計画が成功すれば、2ヘクタールの敷地でビットコインマイニング事業が行われる計画。

電力購入の契約期間は5年で、さらに5年の更新オプションがついている。計20メガワットの電力をキロワット時あたり0.11豪ドルで購入する。今回の複合施設は、シドニーから北へ約120km離れたニューサウスウェールズ州の地域で、今後10年間のマイニング用燃料の確保を計画している。

エネルギー施設を再利用したビットコインマイニング事業は近年、急速に増加しているものの、事業開始当初に問題に直面することも多い。コインテレグラフが今年始めに報じたように、ニューヨーク州や国境を超えたカナダでも同様のプロジェクトが実施されたが、地元経済が十分な恩恵を受けていないとして当局が批判していた。

 

参考URL:

https://jp.cointelegraph.com/news/huawei-releases-bitcoin-wallet-in-app-store-pre-installed-on-all-new-smartphones

イラン政府「仮想通貨の試験的発行準備整う、通信情報技術(ICT)大臣が確認

イランのモハンマド・ジャワド・アザリ・ジャフロミ通信・情報技術大臣はこのほど、国内独自の仮想通貨発行プロジェクトを開始する用意が整ったことを明らかにした。イラン・イスラム共和国中央銀行(CBI、以下イラン中銀)はその数日前、銀行による仮想通貨取引の禁止を通知したばかりである。

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ジャフロミ通信・情報技術大臣は2018年4月下旬、イラン国営通信社IRNAに答えて、「中銀の取引禁止は、国内開発でデジタル通貨の利用を禁止もしくは制限することを意味するものではない。すでに先週のプロジェクト進行に関する合同会議で、(仮想通貨発行の)試験的モデルは準備完了していることが発表されている」と語った。

イランの国営銀行、情報通信技術研究所などの合作プロジェクト

ジャフロミ通信・情報技術大臣は2月に、ブロックチェーンベースの官製仮想通貨開発に向けて努力していることを初めて明らかにした。官製の仮想通貨発行イニシアチブは、テヘランに所在する国営銀行ポスト・バンク・オブ・イランによって開発指導されている。プロジェクトは、表向き国内の金融市場における取引のスピードアップが目的だとされている。

新しい官製仮想通貨は、通信・情報技術省の情報通信技術(ICT)研究所、イラン中銀のMonetary and Banking Research Instituteおよびポスト・バンク・オブ・イランによるジョイントベンチャーである。

同相は当時(2018年2月21日)、Twitter上で次のように書き込んでいた。

ブロックチェーンに基づくデジタル通貨に関するポスト・バンク・オブ・イラン取締役会で、イラン初となるデジタル通貨の試験的実装に必要な措置が、イランのエリート層によって始まったことが確認された。試験的モデルは、イランの金融システムに対して検討・承認のため提出される」

 官製仮想通貨発行は米国の制裁への反撃?

官製仮想通貨開発プロジェクトの詳細は不明だが、2月~5月初めの間に、試験的モデルは完成済みとみて間違いない。4月頃は米国主導の金融制裁が再発効するのではないかとの恐れもあって、イランの不換紙幣リアルの価値が急落した事態に発展したことがある。さらにトランプ米大統領が、イランとの核合意を5月12日に放棄するのではないかという恐れもあり、イランの官製仮想通貨発行の動きは、制裁に対する反撃であるとの見方もある。

一方、イラン中銀は4月下旬、ビットコイン(BTC)、ライトコイン(LTC)、イーサリアム(ETH)など外国の仮想通貨取引を禁止すると発表した。

イスラム法典「シャリーア」はトークンの実質価値の裏付けを求める

4月初めには、インド、パキスタンが仮想通貨の銀行取引を禁止したと報じられているが、これらの禁止発表はイランの動きとは関係はないようだ。ジャフロミ通信情報技術大臣はコメントを発表し、イラン中銀の今回の禁止措置は、フィンテク利用状態のすべてに反対するものではなく、国家主導の取引用コイン(仮想通貨)は含まれないと語った。

イランの新しい官製仮想通貨の実現に向けては、いくつかの懸念がある。イスラム法典「シャリーア(Sharia)」によると、マネーは実質価値を持つか何らかの裏付けがなくてならない。イランが発行するトークンは、金の裏付けがあるマレーシア・コイン、あるいは原油の裏付けがあるベネズエラトークン「Petro(ペトロ)」のように、何らかの資産の裏付けによって支えられるのだろうか?

イランの官製仮想通貨発行は、ベネズエラトークン「Petro」がそうだったように、米国(と言うより)、トランプ大統領の制裁と関係があるとすれば、発行後の成り行きは国際政情にも影響するかもしれず、深刻な問題に発展しかねない。

 

参考URL:

https://coinchoice.net/iran-cryptocurrency-project/

イーサリアムの分裂間近?トランザクション規模拡大実現へ

イーサリアム(Ethereum)開発者のヴィタリック・ブテリン氏は、投資家待望のイーサリアムブロックチェーンプロトコル(Ethereum blockchain protocol)の規模拡大ソリューションの開発、完成時期が迫っていると発表した。ソリューションはシャーディング(Sharding=分裂)と言われる方式であり、これによってイーサリアムトランザクションのスピードが一挙にスケールアップされる。

 「シャーディング(分裂)」でイーサリアムトランザクション規模拡大へ

仮想通貨の規模拡大は、言うまでもなくシャーディングつまりshard(シャード)と呼ばれる分割によって、ブロックチェーンネットワークを分割して、トランザクションやスマートコントラクトを確認するプロセスを最適化するソリューションである。シャーディングによって、特定のシャードに割り当てられる特定のノードは、取引を確認するノード処理を最適化して、処理のスピード化が実現する。

Drops of Diamond」と呼ばれる拡大ソリューションを開発してきたジェームズ・レイ氏はかつて、「ブロックチェーンネットワーク内のすべての取引を確認するためのノードの必要量が、規模拡大に向けたブロックチェーンの能力を制限する」と語った。同氏は「主としてこの理由によって、ビットコインは1秒当たり3~7トランザクションに制限されている」と、ビットコインン能力の限界を指摘していた。

ビットコイン(BTC)、ライトコイン(LTC)、その他決済中心のブロックチェーンネットワークに反して、イーサリアム(ETH)、カルダノ(Cardano)、イオス(EOS)などのブロックチェーンプロトコルは、大規模な非集中化アプリケーションをサポートする、より大きなブロックチェーン能力を必要とする。

そのような理由から、ブテリン氏はソフトウェア開発のための共有ウェブサービスであるGitHabにアップロードして、概念実証済みのシャーディングを紹介し、その開発、完成が近づいていることを明らかにした。

イーサリアムのユーザーサポートにはスケーラビリティを100倍に

イーサリアムのユーザー、投資家、開発者が集う「Reddit Ethereum」上で、ブテリン氏は2018年5月初旬に発表した実証概念の中で、より深く説明している。それによると、イーサリアムブロックチェーンネットワークに融合されるproof-of-stake(PoS、プルーフオブステーク)のBeacon chainもしくはCasper(キャスパー)を実装する。シャーディング可能なBeacon chainは、ビットコインでは10分ほどもかかるのに対して、わずかに2~8秒で新しいブロックを形成するといい、スピードアップが期待されるという。

大手取引所Coinbase(コインベース)の共同創業者であるフレッド・アーサム氏は、イーサリアムが数百万ユーザーによる非集中化アプリケーションをサポートするためには、スケーラビリティ(可用性)の意味で、今より100倍以上の改善が必要だと語る。デベロッパーは現在、シャーディング、Casper、Plasmaによって、大規模な非集中化アプリケーションやスマートコントラクトをサポートするためには、イーサリアムに次の新しいレベルのスケーラビリティが必要だと予測している。

ブロックチェーンネットワークのスケーラビリティの問題は、ユーザーとノードが増加するとともに、ますます深刻になっている。ユーザーの増加は単純にトランザクションが増えることを意味し、処理しきれずにトランザクションの遅延や手数料増加が発生する。

シャーディングは、トランザクションの検証作業をノード群ごとに役割分担し、検証作業を強制的に減らし、同時進行で効率的にトランザクションを処理してパフォーマンスを向上する。イーサリアムは、時価総額ビットコインに次ぐ人気仮想通貨であり、そのスケールアップの実現が期待されている。

 

参考URL:

https://coinchoice.net/ethereum-sharding-program/

仮想通貨と伝統的な金融市場の相関性

仮想通貨市場は現在、全体で47兆円という規模まで成長しており、多くの投資家から注目されている。最近では、大手投資銀行のゴールドマンサックスが仮想通貨のトレーディングデスクをオープンするといった動きがあり、著名投資家であるジョージ・ソロス氏の資産運用会社ソロス・ファンド・マネージメントも市場の参入を示唆している。

ブルームバーグは今月始め、過去16ヶ月のデータを元に仮想通貨市場と他の金融市場を比較した報告書を発表している。

仮想通貨市場の魅力の一つに数えられるのはボラティリティと投資利益率の高さだろう。ビットコインは仮想通貨市場の中ではボラティリティが低い部類に分けられるが、そのビットコインでも昨年の12月には1BTC=230万円を記録し、今年の2月には一時1BTC=65万円まで価格が下落している。

ブルームバーグが作成した下記のデータは、通貨、商品、債券、証券、仮想通貨のボラティリティと投資利益率を表している。

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引用元:Bloomberg Graphics(By Yue Qiu, Justina Lee and Adrian Leung)

データからは仮想通貨市場のボラティリティが他の金融市場に比べ非常に高いことが読み取れる。しかし市場全体が成長していることもあり、すべての仮想通貨の投資利益率が大きくプラスであることがわかる。投資家の間で仮想通貨市場へ新規参入する需要の高まりが納得できるデータとなっている。

株式市場では取引高が資産価値に関わらず分散している一方で、仮想通貨市場では資産価値と取引高に正の相関関係がある。仮想通貨市場ではビットコインが市場の資産価値と取引高の大半を占めており、これはほとんどの取引所がビットコインや資産価値の高い銘柄を優先的に取り扱っていることが要因であると考えられる。

仮想通貨市場は全体としてテザーを除き強い正の相関性がある。仮想通貨市場の銘柄のみでリスクをヘッジすることが非常に困難であることが伺える。

ICOIPOに比べ、利益率も大きいが損失率も大きい。ICOは現在米証券取引委員会(SEC)が証券として認定するか否かに注目が集まっている。

仮想通貨市場はボラティリティと利益率が高いことが魅力の一つだが、市場が拡大するに連れ金融市場を取り締る規制当局も動き出し、イーサリアムリップルなども証券に該当するのではとの議論が行われている。規制により市場が成熟に向かうことは歓迎すべき点だが、市場の良い部分も削られるのではと懸念する市場関係者も多い。仮想通貨市場にとっては大きな変化がある一年となるのかもしれない。

 

参考URL:

https://btcnews.jp/3nuw8irp16183/

アゼルバイジャン、仮想通貨の収益は課税対象に

アゼルバイジャン税務庁のニヤット・イマノフ氏が5日、仮想通貨と法定通貨の交換取引による利益は、課税対象になると発言した。首都バクーで開催された第2回金融投資フォーラム(FIF2018)で、新しい基準について概要を説明した。地元報道機関トレンドが同日伝えた。

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イマノフ氏は次のように明言した。

「これは、法人に対する利得税、個人に対する所得税として、正式化するものだ。仮想通貨を購入し、値上がり後に売却すれば、その差額は収益として記録され、課税対象となる」

さらにトレンド紙は、アゼルバイジャンの仮想通貨市場が昨年5~12月の間に大きく成長し、仮想通貨取引は収入を得るための手段として、ますます人気が高まっていると伝える。仮想通貨間、また仮想通貨と法定通貨間の交換取引、そしてマイニングは、ほとんどの国で課税事象として認識され、所得税法または利得(キャピタルゲイン)税法のどちらかに分類されている。例えばフランスは最近、仮想通貨取引の大部分の事例(マイニングと「産業レベルでの」取引を除く)をキャピタルゲイン税法の適用範囲とし、一律19%の定額税率を課した。対照的に、所得税は最高45%まで課税評価される可能性がある。

仮想通貨を資産とみなし、仮想通貨の購入・販売・取引・マイニングを課税事象として扱う米国の税務当局IRSは最近、米仮想通貨取引所大手のコインベースに対し、顧客データの引き渡しを要求した。これは、取引を行う多くの人たちが、その利益について所得税申告を行っていないとの懸念を受けた動きだった。

 

参考URL:

https://jp.cointelegraph.com/news/azerbaijans-taxes-ministry-says-crypto-revenue-is-subject-to-taxation

国内初、数億円ICOベンチャーが奮闘するICOの税務と決算

仮想通貨バブルを象徴するキーワードとして、ビットコインと並んで話題にのぼる、仮想通貨による資金調達ICOInitial Coin Offering)。

国内でもICOにチャレンジしようという人たちが増えるなかで、多くの人が気にかけていない大事なことがある。真っ当に資金調達した企業や個人が、必ずしなければならない義務である「税金の支払い」、つまり会計処理だ。

2017年にICOで資金調達をした国内の成功例として知られるソーシャルメディアプラットフォームのスタートアップALISはいま、ほぼ日本初になるICOの税務処理を行おうとしている。

良くも悪くも目立つ、ALISの動きに集まる視線

「日本で初めて数億規模のICOを実施したことで、ALISは良くも悪くも目立つ存在だと自覚してます。(最初の一歩を踏み出した)“ファーストペンギン”になった以上、自分たちなりのICOのあり方を発信していく必要があるだろうと考えたんです。今後、仮想通貨やICOが伸びていく可能性が大いにある中で、僕たちが積極的に情報開示をしないと、誰も知識が得られないですよね」 

ALIS代表の安昌浩氏は、いまの心境をそう説明した。

ICOで資金調達した企業の税務処理は、まだ誰も手がけたことがない未開の分野だ。それだけに相談したくても窓口がなかったり、そもそも仮想通貨というものに会計事務所が詳しくないケースも多い。

ほぼ日本初の「ICO実施企業の会計処理」は、税の専門家でもないスタートアップ1社でやりきることは不可能に近い。そこでALISは、税務サポートをする仲間を引き入れた。それが、沼澤健人代表(31)が立ち上げたアトラスアカウンティング(Atlas Accounting)だ。

沼澤氏は、税務・監査のプロフェッショナル集団KPMGグループのあずさ監査法人出身。個人のTwitterアカウント(@2nd_chick)でも仮想通貨の税務相談に返信するなど、界隈では「仮想通貨の税務に詳しい人物」として知られている。別の会社の起業を経て、2016年4月にアトラスアカウンティングを起業した。

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沼澤氏が運営するツイッターアカウント「二匹目のヒヨコ@仮想通貨税務駆け込み寺」

アトラスアカウンティングでは、財務会計分野の専門性を持つだけでなく、起業やITシステムなどにも精通した公認会計士や税理士を集め、ブロックチェーン企業のサポートやICOプロジェクトの開示サポートを提供している。

それにしても、いくら会計業務に詳しいとはいえ、なぜICOの会計をサポートすることにしたのか? 安氏と沼澤氏が出会ったのは2017年の10月ごろのこと。沼澤氏は言う。

「私自身が仮想通貨交換業者のサポートをした経験があったことが前提としてあります。そのうえで、安さんの話を聞いて、企業会計基準委員会(ASBJ)の動向を(自身が)キャッチアップしていたこともあり、ルールの定まっていない中でALISチームが自ら範を示して、ルールづくりに積極的に影響を与えていきたいという姿勢に共感したからです。“一緒にチャレンジしましょう”という話にすぐにまとまりました」

ICOには詐欺的なプロジェクトも少なくない。ALISチームであれば、真に価値のある後続のプロジェクトにとって良い環境づくりをできるのではないかという期待感があった、と語る。

ICOの会計処理が難しいと言われるのには、いくつか理由がある。

もっとも大きい理由は、上場のためにはパスしなければいけない基準が明確に決められているIPO(Initial Public Offering=新規株式公開)と違い、ICOを実施する際のルールは監督官庁金融庁国税庁)によってまだ明確化されていないことだ。そのため、尻込みする会計事務所が少なくないという。

沼澤氏によると、ルールが定まっていないのは、ICOを実施した際の「財務会計基準」や「法人税制」についても同様だという。

個人が仮想通貨の取引などで得た利益に対する所得税については、国税庁が2017年12月にガイドラインを示したことで、業界として一定の方針は広がった。一方で、(法人が仮想通貨で資金調達する)ICOについては、明確な方針が打ち出されていないのが、5月4日時点での現状だ。

ICOの会計処理の論点は大きく2つ

関係者によると、ICOの会計処理の論点は、以下の2点に大別できるという。

1,ICO実施に際して調達した仮想通貨(BTC=ビットコインやETH=イーサリアムなど)の会計処理


2,ICOプロジェクトにおいて発行された(mintした)仮想通貨(この場合はALISなど)の取り扱い

前者は、期末の時価評価に関する指針は示されているなかで、ICO実施時に調達した仮想通貨が「売上高」を構成するか否かがポイントになる。この場合、「開発資金」として調達した仮想通貨に多額の税金がかかってしまうことが課題だ(同時に、売上を構成しない、前受金などの「負債勘定」として計上するための要件なども検討されるべきだ、という意見もある)。

後者の「ICOプロジェクトで発行された仮想通貨」については、会社または創業者らが一部を自己保有するケースも多い。その仮想通貨についても、(法人の場合)期末の時価評価を行うかどうかが論点になってくる。

国内でも珍しいICOの税務処理方針は「企業ビジョン最優先」で決めた

会計処理のアドバイスを引き受けるにあたって注意したことは何だったのか?沼澤氏に聞いてみた。意外なことに、安氏に対して「こういう資金の使い方はしないでほしい」といったような要求は、ほとんど何もしなかったという。

「私の考えでは、会社というのは、あくまで経済活動が優先なんです。それを映す鏡が会計であって、そして表裏一体の税法体系があります。まずは安さんのICOに対するビジョンがあって、それを実現する上でリスクがあればアドバイスする、ALISが正しく税金を納めるためのサポートをする……というのが税理士をはじめとする専門家(アトラスアカウンティング)の立場です」

一方で、公の指針がない状態は当初から継続している。そのため、税務申告にあたっては、金融庁国税庁の「事前確認制度」を使って、節目節目の確認を徹底。また、沼澤氏の個人的なコネクションをフル活用して、金融庁国税庁などの政府の考え方の動向も追うことで、監督官庁の方向性に沿うように備えている。

税務処理以外にもある「課題」、情報開示をどうすべきか? 

ICOはれっきとした「支援者がいる資金調達手法」だ。だから、調達した資金の使途や現在のALISという企業の健全性をどのように、どこまで開示していくかも重要な判断になる。

安氏が沼澤氏に提示したALISの開示方針はきわめてシンプルで「できる限りの情報を開示すること」だった。

ただし、沼澤氏は「この方針を実際の運用に落とし込むのは、実務とのバランスという点で、簡単な作業ではない」と語る。

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主には2つの検討要因がある。

1つめは開示範囲だ。開示ルールが定められているIPOを参考にしようにも、ICO実施企業とIPO実施企業とでは、企業としてのフェーズがそもそも異なる。IPO実施企業と同じ手法や頻度で公開するには、ビジネスをこれから立ち上げていこうというスタートアップにとってはコストが重い。また非公開企業ならではの「成長性とスピード感を重視した自由な運営」に網をかけることにもなりかねない。

2つめは、どのように開示するのか。ALISの出資者(ALISトークンホルダー)には、必ずしも投資のプロでない人たちも多く含まれる。IPOのように財務諸表などを開示して終わりというわけにはいかない、と安氏は考えている。

「例えば、インフォグラフィックにまとめるなど、情報をわかりやすく噛み砕いて伝える努力もしないといけないと思ってます」

そのため、情報開示の内容や方法については現在も目下、模索中。いずれにしろ、ICOならではの開示手法を取り入れ、オープンにしていくとのことだ。

業界の健全化のため、「透明性の高いICO」目指す 

いま、ALISは5月末の申告完了に向けて、最後の詰めの真っ最中だ。

先に書いたように、「先行事例がなくALISが道を作っている」状態のため、「こうなっていれば100%正しい」というものが見えづらい状況に変わりはない。

また、5月末までに当局からなんらかの公式アナウンスがあり、その内容がALISが採用したやり方と異なっていれば、当然、それに対応しなくてはいけない。

沼澤氏は様々なケースを想定して、間違いがわかったら即座に修正申告する準備も進めている。

ALISとしての「初年度決算」の情報開示については、5月末の提出が終わったあとの6月中を目指している。

開示の内容や方法を模索中ということは先に書いたとおり。ベンチャー企業には重荷になりかねない手間をかけてまで開示する背景には、国内のICO先駆者としての強い思いと覚悟がある。

「今、仮想通貨に関して、明るいニュースが少ないですよね。ICOについても、“詐欺が多い”とか“怪しい”というイメージがついて回っているのも認識しています。でも、我々はブロックチェーン技術やICOで世界を変えようと真面目に取り組んでいます。

ICOをする上で、情報を開示する義務はありませんが、我々が適切に開示をする実例を作っていくことで、業界の健全化につなげたい、と考えています」

 

参考URL:

https://www.businessinsider.jp/post-166831