違法マイニングに規制の機運、韓国では「養鶏場」でマイニング
米国や中国、韓国において、個人の仮想通貨マイナーや大規模なマイニングセンターが違法な操業により多数検挙されている。例えば今年4月には、韓国のマイナーが仮想通貨製造のために安い電気を不法に使用したとして逮捕された。
韓国、「養鶏場」でマイニング
韓国では、開発制限区域にある養鶏場や工場については政府が電気料金を安く設定している。苦境にある産業を助け、革新的テクノロジーに重点を置いた活動を支援するためだ。そのような区域の電気使用について、政府は厳しい姿勢を示しており、特別に認可されたエリア付近の建物や工場、農場、住宅へのエネルギーの流れは常に監視されている。
先月19日、ソウルに次いで2番目に大きい京畿道の警察が南楊州市のマイニングセンターの運営者を逮捕した。5人の仮想通貨マイナー(拘束中のため身元は伏せられている)が、大幅に低い料金で電気を使用するために市の保護エリアにある工場や養鶏場を意図的に借りていたことが、警察の詳細な調査で判明した。
5人のマイナーは建物を半導体工場に偽装したり、いくつかの土地を養鶏場に見せかけることで、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨を採掘する能力を得ていた。入手・設置したASICマイナー以外のコストは実質ゼロの状態だった。
坡州市の開発制限区域で859㎡の建物を借り上げ、政府には半導体工場と申請していた。そして8か月に渡り、その場所を使って1580台以上のASICマイナーで仮想通貨を採掘していた。そのような不法行為の後半には40人以上からASICマイナーをレンタルし、さらに仮想通貨を生み出していた。
彼らは個人からASICマイナーを借り受け、数か月で30万ドル以上を生み出したが、8か月間で実際に生み出した仮想通貨の総量はまだ分かっていない。
京畿道と坡州の警察が行った予備捜査では、少なくとも760イーサ(50万ドル以上に相当)と大量のビットコインが生み出されたようだ。グループが過去1年間に生み出した最終的な総額については警察が調査中である。また通常の半分の電気料金しか支払われておらず、養鶏場や工場の賃貸料も大幅に割引されていたことも判明している。
韓国には現在、開発制限区域での仮想通貨採掘を罰する法律や規定がない。場所の目的外使用により5人は軽微な罪に問われる可能性があるが、現時点では重大な刑罰を課すことはできない。将来同様の事態が起きないようにするため、地元警察は国土海洋部に対し、電気料金の安いエリアに乗じた仮想通貨採掘を禁止する法律の起草と成立を要請した。
ニューヨークで初のマイニング禁止
米国では3月18日、ニューヨーク州の地元当局が仮想通貨マイニング施設に対し、採掘を中止するように要請した。北部にある湖畔の小さな街、プラッツバーグの住人が、マイナーによる低料金電力の過剰使用について警察に正式に訴えていた。
しかしながらプラッツバーグ市は、ビットコイン採掘を永久的に禁止する措置はとっていない。その代わり、少なくとも1年半の間、市が商業的な仮想通貨マイニングの申請受け付けを中止する一時停止令が地元当局と住人から出された。ブルームバーグの報道によれば、マイナーが採掘目的で低料金の電気を使用しようとした場合、市は1日につき最低1000ドルを課すことができる。プラッツバーグ当局は以下のように語っている。
「地元の法律の目的は土地利用の推進や建築規制にあり、市の照明部門の規定の目的は自然・歴史・文化資源や電力源を保護し、強化することにある」
2月15日には、ブルックリンにあるマイニング施設のASICマイナーが通信大手Tモバイルの700MHz帯域に干渉していることが明らかとなり、この施設も同社や地元当局と対立状態となった。連邦通信委員会(FCC)は以下のような通告を行っている。
「2017年11月30日、この申し立てに対し、執行機関のニューヨーク支部の職員が方向探知により、ニューヨーク州ブルックリンの貴殿の住居から700MHz帯の電波が放出されていることを確認した。干渉機器の電源を切ると干渉もやんだ。貴殿は、機器をAntminer s5 Bitcoin Minerと確認した。この機器からは、Tモバイルのブロードバンドネットワークに割り当てられている周波数のスプリアス発射が生み出されており、有害な干渉が生じている」
この際、施設内のASICマイナーが放出する電波により地域の通信ネットワークに悪影響が出ているとして、FCCはマイニング施設に対し通告を出し、20日以内に操業を停止し、退去するように命じた。
脱法マイニングには規制の機運も
ビットコインや仮想通貨のマイニングは大部分の国で合法とされており、ビットコインやイーサリアムといった仮想通貨の取引を昨年9月以降禁じている中国も例外ではない。
ほとんどの地域で仮想通貨マイニングが違法ではないのは、家庭や企業の需要が打ち止めとなっている送電事業者にとって追加のエネルギー消費をもたらすためだ。そのため、以下のCNLedgerのレポートのように、過去には地元政府が仮想通貨マイニングを禁止しようとしたこともあったが、大部分の国ではマイニングは禁止されていない。
YiCai: Regulators are asking local departments to report the current status of bitcoin mining companies under administration, and "guide the mining firms to exit in an orderly manner" by taking various measures from the aspects of electricity, land, tax, environmental protection
— cnLedger [Not giving away ETH] (@cnLedger) January 6, 2018
(第一財経より:規制当局は地域支部に対し、管理下にあるビットコイン・マイニング会社の現在の状況を報告するように求めている。そして電気や土地、税制、環境保護といった側面から様々な方策をとり、「マイニング会社を整然と退場させるように導いている」)
また、低料金の電気を使用してビットコインなどの仮想通貨を採掘することも違法ではない。しかしながら、認可組織や団体のみに供給される安い電力を利用するために、仮想通貨マイニング活動を開発制限区域の保護事業のごとく装うことは違法だ。そのため韓国当局は現在、電気料金の安いエリアをマイニング施設に利用させないようにするルールづくりに取りかかっている。
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